青春18きっぷの旅 IN 東京
〜現代建築を訪ねる〜
※注意。
この旅行記は非常にネガティブな表現が多用されております。
気分を害される恐れがありますので、楽しい旅行記を期待される方、若干鬱気味の方、明るい未来を夢見る小さなお子様、夢を追い求める情熱をお持ちの方は、閲覧をお控えください。
尚、感情表現以外の部分は普通の内容です。
2007.4.2.MON.
「なぜ東京を選んだのか?」
・・・と聞かれれば、たいして深い意味は無いのだが、「遠からず、近からず、当り障り無く」・・・と言うのが正直な理由である。
いっけん無関心なコメントではあるが、情熱が無いわけではない。
この旅において、「どこへ行くのか。」ではなく、「何を見るのか。」と言うことが重要だと思った。
AM6:00
永く過酷な独り旅が幕をあけた。
とはいえ。
隣接する県に住んでいるわけだからさほど長い道のりでは無いのだが、なにせ(寝不足の)田舎者が初めて独りで東京にでるのだ。胸中は不安しかない。
起床した私は、シャワーを浴び、着替えを済ませ、持ち物の確認をした。
AM6:20
自宅を出た。最寄のコンビニに寄り、朝食に、安価なおにぎりとペットボトルの水を買った。
AM6:30
上り列車[大月]行きに乗った。一番前の車両のBOX席に独りで座った。
電車通学で聞きなれた単調なリズムに身を任せていた。
特にすることも無く、[勝沼葡萄郷]を通過した。ここから先は、私にとって、未開(未知)の土地である。
曇り空に憂鬱そうに咲くソメイヨシノが目に入った。
直後の長く暗いトンネルが、不安を増大させていることがわかった。
そこから終点[大月]までは大した感情の起伏も無く、淡々と流れていく田舎の景色を観ていた。
AM7:11
[大月]に到着し、[新宿]行きに乗り換えた。ただし・・・通勤特快。
「特快。」その響きに浮かれていたことに、後悔するまで2分を必要としなかった。
列車の発停車時に耳に入る不快音。どこを見ても、サラリーマン。正直、私は自分の五感が停止してしまうことを願った。
若干の吐き気と顔を侵蝕してゆく脂汗と闘うこと約1時間半。
AM8:40
ようやく[新宿]に到着。
東京に着いた感動よりも、山手線のホームを見つけなくては、と言う焦りが先行した。
==ここから先は、編集を円滑に行いたい(もしくは、詳細な時間を覚えていない)ので、時間の表記を省かせていただきます。==
それほど迷うこともなく、無事、山手線に乗り換えることが出来た。
予想通り混雑(東京では普通なのかもしれないが…)はしていたが、先の通勤特快に比べれば気になるものではなかった。
[原宿]で下車。時間的に人通りの少ない通りを歩くこと8分。最初の目的地に到着した。
「表参道ヒルズ」
設計:安藤忠雄建築研究所
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到着時間が早く、まだその扉が開かれるにはしばらく時間がかかるようだった。
しかし、私の腕には既に鳥肌が立っていた。
一般の買い物客にしてみれば、「オープンして1年の新しいショッピングスポット」くらいの感想かもしれない。
だが、建築を志したばかりの高校生にとって、それは旧約聖書に登場する神が創造した万物を遥かに凌駕してしまうような場所なのである。
この、表参道ヒルズの設計者「安藤忠雄」。
その存在は私にとって神に等しい存在であり、彼が設計した建築はまさしく、「聖地」なのである。
その外観は、安藤建築の大きな特徴であるコンクリート打ちっぱなしが基本となり、高さは通りの並木よりも高くならないよう設計されている。
コンクリート打ちっぱなし。その仕上がりには右にでる者がいないくらいにこだわる安藤氏の設計。細かい指示の下施工されたそれは、コンクリートの「無機質」と言う表現が軽々しいくらいであり、言うなればそれは「無表情」とでも言ったほうが良いのではないかと思う。
逆に、本館に併設された「同潤館」(旧同潤会アパートがモチーフ)は日本の古き良き生活感を感じさせる佇まいとなっており、穏やかな表情をみせる。
現地到着から約2時間。ようやく、警備スタッフが、ステンレスのポールを下げはじめ、入り口のモニターにはオープンを予感させるイメージ映像が映しだされる。にわかに続々と買い物客が集まりはじめ、遂にその瞬間が訪れた。
愛想の良いスタッフに迎えられ、続々と建物内に吸い込まれていく買い物客。
場違いに床、壁、天井を繰り返し凝視し、キョロついている自分。
表参道の傾斜と同じ角度で設計されたスロープを歩きながら吹き抜けに目をやる。最下階では某携帯電話会社が新製品のプロモーションが行われていた。
内装はごくシンプルであり、あくまで余計な主張をしない商業施設であった。
「原宿」という街
表参道ヒルズがオープンするまでの間、私は、原宿を散策してみることにした。
原宿というところは、ご存知のとおり様々なショップや施設が混在する街である。
有名ブランドのショップは、その企業イメージをカタチしようとしのぎを削り、そうでない建物も、とても個性豊かななものが多い。
逆に言えば、そこには「普通」のものは存在せず。また、「普通」なものがない状態がそこでは「普通」なのである。
街に、統一感と言うものは感じない。しかし、それぞれのものがお互いを邪魔することなく、さり気ない主張をしている印象だった。
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午前中を原宿周辺で過ごした私は、次の目的地に向かうため再び山手線に乗った。
相変わらず人・人・人・・・・・。であったが…「慣れ」とは恐ろしいものである・・・。
[上野]で下車。
「国立西洋美術館」
設計:Le Corbusier(本館)、前川國男(新館)
「国際こども図書館」
旧帝国図書館から現在の国際こども図書館に転用されるにあたり、安藤忠雄建築研究所・日建設計、鴻池組によって改修。
この二ヶ所では、得るものが無かった。唯一得たのは、「月曜日にここに見学に来てはいけない。」という教訓だ。
月曜日…そう。どちらも休館日だったのである。
したがって、門の外から写真を撮ることしかできず、中の見学はできなかった。
不甲斐無さと情けなさ、疲労感と脱力感を抱え、駅へと戻った。
再び山手線に乗り、最後の目的地へ向かうために[新宿]へ戻った。
「東京都庁舎」
設計:丹下健三
なんとか写真に収めようと頑張ったが…でかい。
こんなにも巨大な建物は私の地元にはなく、その大きさに圧倒された。
ちょうど、都知事選の時期で街頭に張られた候補者のポスターが「この田舎者。」と嘲笑しているようにさえ見えた。
高層ビルの中でもその存在感は圧倒的だった。中学生のときにお年玉で買った小さなデジカメには収まりきらず、なんだか中途半端な写真ばかりになってしまった。
感想
この独り旅は肉体的にも精神的にも非常に厳しかった。
見知らぬ土地へ独りで出かけるというのは気持ちに余裕が無く、冷静に建物を観るどころではない。
また、交通手段が「JRのみ」と限られていることから、乗車率200%越えの超満員に巻き込まれたり、駅から離れた場所へ歩いたりと、肉体的にもかなり厳しかった。
しかし、憧れの建築家による建造物を見ることのできた感動は、何物にもかえがたい。
今後、このような機会があるならば、できれば数人で気持ちの余裕を持って出かけたいと思った。